溝入敬三コントラバス劇場

王様好きなコントラバス

 たくさんのコントラバスが集まって相談した結果、自分たちに王様がいないのはおかしい。神様にお願いしようということになりました。
 全てをお見通しの神様は、願いをかなえてやるために、地上に大きなドラム缶を落としました。天から降って来たドラム缶は、凄まじい音を立てましたから、コントラバス達は肝をつぶして逃げ出しました。そして遠巻きにして長い間見ておりました。しかしいっこう静かなので、近寄って覗いてみましたら、中は空っぽでした。
 みんな笑いながら集まって来ると、てんでにドラム缶を叩いたり、上に座ったりして馬鹿にしました。そしてとうとう、かようなものを王様に戴いておくのを恥ずかしく思い始めたのです。
 再び神様にお願いしました。
 「神様、このあいだの王様は、何もしません。少々呑気過ぎます。脳味噌も一欠片も入っていません。新しい王様と取り替えて下さい。」
 それを聞いた神様は、ひどく腹を立てられました。それで、よりによって、ドラム缶の王様の代わりに、本当によりによって、指揮者を地上に送ってしまったのです。
 それからコントラバスは、一生を指揮者にいじめられて暮らすことになったということです。

 この話は、掻き乱したり悪い事をしたりする支配者たちよりも、馬鹿でも悪くない支配者たちを戴く方が優っている、ということを明らかにしています。

(音のイソップより)
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by Keizo-MIZOIRI | 2007-09-11 12:18 | 物語
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コントラバス、音楽、その周辺のことなど
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